葬儀前

病院から帰宅して顔族一同呆然となっていた。

会ってはいなかったものの父がいるというのは当たり前になっていた。その父がまさかこんなに早く突然にいなくなるとは誰も予想していなかった。

父との思い出はいいものばかりではない、むしろ悪いものが大半を占めている。

しかし父としての思入れもあるし、ある種の絆は私たちの中にはあり、その存在がなくってしまったのは素直に悲しく喪失感を覚えた。

そこから2日後のことだったろうか、父の妹、私の叔母にあたる人物から連絡が来た。父のことは残念だったという言葉とともに、父が当時経営していた会社の鍵が見つからずもし持っていたら送ってほしいとのことだった。

私たちは病院で受け取ったものの中に鍵等入っていることを思い出し一式をその日のううちに郵送した。しかし今思えばこれは大きな間違いだったと思う。

一週間もすれば葬儀の段取りについて叔母から聞かれた、当時父と母は離婚していたので母は葬式に行くべきか悩んでいた。

母方の祖父母は一応母のもと夫であり一度は家族になった縁もあるのっで葬儀に出席したいと申し出てくれたがそれを叔母に告げるともう家族ではないので遠慮してもらいたいと断られた。

母はその返答に悲しそうにしながらも、自分の両親も行けないのなら自分も行かないと決めた。そして葬儀には私と姉だけで行くことになった。

父の事故には同乗者がいた。同乗者の方も父と一緒に亡くなってしまった経緯から葬儀は小規模で親しい人のみで行うことを聞かされた。そのことを聞き自分の祖父母の出席の申し入れを断ったことにも納得した。

 

しかし葬儀当日は私たちの予想をはるかに超えた事態が待ち受けていた。